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【SODEGAURA's 結びと守りの会 島村さん】人と人を結び守る みんなの里まつりが生み出す地域の繋がりと循環

印刷用ページを表示する 掲載日:2021年11月25日
結びと守りの会島村さんの写真

横浜から移住し、夫の島村幸男と半芸半農の道へ

島村さんご夫婦の写真

 わたしたちは2010年に横浜から袖ケ浦に移住しました。夫は芸能生活40年、わたしは30年程前よりマネージャーとなり二人三脚で芸能業を続けてきました。夫がテレビの番組で約7年間、神奈川県内の生産者1500軒以上をレポートする中で就農への想いが強くなり、就農するための場所を探していた時に様々なご縁がつながり、この地にて新規就農をすることになりました。知り合いを通じて千葉県の農業大学校で学び、またJAきみつ及び袖ケ浦市農林振興課の方々にも良くしていただき、お蔭様で運良く地元の農家さんから農地を借りることができました。袖ケ浦を選んだのは、アクアラインでのアクセスの良さもあるけれど、やっぱり人と人とのご縁の力が大きかったんですね。

 わたしの実家は栃木県佐野市で、父は若い頃から鶏や植物の品種改良をする研究者でした。山の麓にある垣根のない家の敷地はたくさんの動植物にあふれ、土と親しむ暮らしはごく当たり前。横浜にいた頃も畑や田んぼを借りて、米、野菜、ハーブや果樹など、四季を通じて育てていました。当然ながら、家庭菜園と生業としての農業は全く別物です。農業で食べていくことの難しさは身に染みる程ですが、今は芸能と農業の仕事のバランスがとても心地良く感じています。特にコロナ禍となり、イベントが全くない期間に、種を植え苗を育て、収穫販売が出来たことは支えになりました。

 しまむらファーム&ガーデンでは、袖ケ浦市内に農場を持つ種苗会社の品種ホワイトショコラ(白いとうもろこし)や小糸在来®、ハーブやエディブルフラワーなどを育てています。野菜・ハーブ苗なども生産し、直売所のゆりの里やFARM COURT袖ケ浦でも販売。ハーブは100品種以上を生産し、栽培期間中は農薬はもちろん肥料も使用していません。最近では、飲食店をはじめ、SNSや口コミを通じてヴィーガンその他個人で注文をいただくことも多くなりました。

台風被害をきっかけに SODEGAURA's結びと守りの会を結成

台風被害を受けたハウスの写真結びと守りの会スタッフの写真

 私たちが結びと守りの会を結成したのは、2019年に房総半島を襲った台風がきっかけでした。当時県内の生産者の被害は甚大なもので、誰もが今すぐの人手を必要としている状況。それまで培ってきたネットワークを駆使して仲間を集め、とにかく生産者仲間の助けになればと駆け回りました。まず優先したのは、経済動物生産者。農作物も待ったなしですが、家畜はそれ以上。袖ケ浦市内のいちご農家さんのハウスも甚大な被害を受け、みんなで手分けしてハウスの解体や片付け、苗を植えなおして。家族や従業員だけではとてもやりきれる量ではないことでも、人手が集まれば大きな力になる。そうした活動から自然発生的に今の結びと守りの会が結成されました。

 台風直後、しまむらファームでは救援物資を受け渡すハブのような活動も行っていました。飲食料品や電池・ブルーシートやオムツまで、とりあえず、しまむらファームで救援物資を一旦預かりそこから届けに行ったり、困っている地域へ届けてくれる方に渡す。災害はないに越したことはないけれど、これをきっかけに遠慮なく助け合う事ができるようになったのも、災害の産物だったのかもしれません。

島村さんの活動写真

あらゆるムスビに感謝し、先人の知恵を今に生かす

 10年この地に住まわせていただいていて、恩返しをしたいという思いもあって今回挑戦した袖ケ浦市との市制施行30周年の市民協働事業「みんなの里まつり」。ゲストを含め、まつりに関わってくださっているメンバーは、皆さん利他の精神を共有していると感じています。袖ケ浦は今、駅前を中心に若い世代の方たちが市外からも数多く移住していますよね。そういう方たちと田園地区で暮らしてきた方たちとの出会いの場をつくりたいということと、袖ケ浦市の頑張っている素敵な事業家さん・アーティスト・作家さんたちを多くの方に知って欲しいという思いを持ちながら、毎月ひらおかの里農村公園にて、無い知恵を絞りテーマを変えながらイベントを開催しています。コロナ禍の中での開催となり苦労も絶えませんが、ここまで中止もなく毎月続けてこられたのも、多くの方々の協力があったからです。本当に感謝しています。

 結びと守りの会では、人間も自然の一部であり、生命の営みに欠かすことのできない木や森を大切に思い、我々を育んでくれている地球に少しでも恩返しできるような活動をしていきたいと思っています。台風以降、木があると倒れて危ないという意識が強まり、樹齢を重ねた大木ほど安易に伐採されるケースが多くなっています。木があるからこそ人が集い安らげる木陰もでき、森は癒しをもたらしてくれます。そういった安心できる場所が多いまちにこそ、多くの方がこれからもずっと住み続けたいと感じてくれるのではないでしょうか。

 「結び」という言葉の語源は、日本の神話に出てくる「産霊(むすひ)」という言葉です。古来日本人は結びつくことによって神霊の力が生み出されると感じてきたのでしょう。太古の昔からきっとそこにあったであろう青空。我々の祖先が生きていた里山、田んぼ、畑、涙がこみ上げるほどに美しい日本の原風景を守りたい。普段は隠れて見えないけれど土中に繰り広げられている菌糸のネットワークのように、まずは家族や仲間という小さな繋がりを大切にして、それがやがて地域やまちの循環に繋がり広がっていく、そんな事を目指した活動を続けていきたいです。

取材日 2021年10月12日
 

島村さんのインタビュー写真
みんなの里まつりの写真
みんなの里まつりの写真
農村公園ひらおかの里の写真