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【NPO法人キッズパレット】白いパレットにみんなできれいな色を出していこう キッズパレットが取り組む学童保育

印刷用ページを表示する 掲載日:2021年1月12日
キッズパレットの学童保育の写真

インタビュー対象者:NPO法人キッズパレット 代表理事 向井 幸子さん

【プロフィール】

 教員として働きながら、1996年に市内昭和地区に学童保育所「あそびっこクラブ」を保護者仲間と開所。初代会長として、保護者会運営による学童保育所の立ち上げに携わる。2011年に「NPO法人キッズパレット」へ法人化し、現在は代表理事として3つの学童保育所(放課後児童クラブ)を運営。

同じ志を持った親同士で 学童保育所をスタート

 

向井さんのインタビュー写真

 私の子どもがまだ小学生だった25年前、仲間の親たちと一緒に開所したのが学童保育所「あそびっこクラブ」です。当時は共働きの家庭がまだ少なかったのですが、子どもの育つ環境が変わり、遊ぶための「時間」、「空間」、「仲間」の3つの「間」がないと言われ始めていました。私自身は共働きでしたが、放課後は近くに住む祖父母が子どもを見てくれていました。その一方で、同世代の子ども同士が群れて「あそび」を通じて成長することへの期待もあったんです。

 そんなある日、自宅で子どもの友だちとクリスマス会をした後、迎えに来た共働きの親仲間に学童保育所の立ち上げを相談すると、その方は即決し笑顔で「やりましょう!」と。そして、年明け1月には支援員が決まり、保育場所の確保、会員募集、市役所も補助金を検討してくれて、4月にはあっという間に開所することができました。今思うと、本当に人との出会いに恵まれていました。保護者仲間はもちろん、熱心な支援員や保育場所を貸して頂いた地権者の方まで、常々出会いの素晴らしさに感謝しています。

 学童の開所当初は、子どもの数も5~6人程度でした。しかし、その年から第二土曜日に学校がお休みになったので、一般児童も募集して、月1回の特別活動を行いました。例えば坂戸神社で忍者ごっこをしたり、千葉大学生の協力を得て、鋸山に行ったり、那須高原にスキーに連れて行ったり。親が企画をしながらダイナミックな活動を展開しました。保護者会運営でしたので、親が学童の運営にも積極的に関わり、子どもたちが仲間と一緒に群れで遊べる場や活動を、支援員と一緒に工夫しながら創り上げていきました。これは、私自身も親としての楽しい思い出となっています。

NPO法人を設立し 3つの学童保育所を運営

キッズパレットの学童保育の写真キッズパレットの学童保育の写真

 現在では、3つの学童保育所(あそびっこクラブ、ひみつきち、昭和放課後児童クラブ通称「うちゅうせん」)合計で約250名の会員(児童)がいます。これは、昭和小学校の生徒約700名の3分の1にもなります。月額会員(毎日利用)と日額会員(夏休みなど必要な時に利用)は半々の割合。対象は1年から6年生で夜7時迄お預かりをしています。

 子どもたちは学童に帰ると、まず30分程度は宿題・勉強の時間。その後おやつを食べると、外遊びや室内で本を読むなど自由に楽しんでいます。開所当初は入所児童不足が課題だったことを思い出すと、現在は3つの学童があってもまだ足りない状態ですので、時代の変化を感じますね。それだけ共働きの家庭が増えたのだと実感しています。

 2011年にNPO法人キッズパレットを設立し法人化を行ったのは、会員増による居場所不足と事務負担増がきっかけでした。保護者会運営の時代は、補助金申請、会費の集金やお給料の支払い、その他さまざまな事務を保護者がプライベートの時間を使って行ってきました。しかし、法人化して正規職員2名を雇用しそれらの事務を担うことで、保護者の負担が激減しただけでなく、支援員への待遇改善、組織強化による社会的信頼も得られ、大きなメリットがあったと思います。

 その一方で、保護者会運営時の「子どもが楽しむ環境を親子で一緒につくっていく」という良さは今後も大切にしていきたいですね。そのためにキッズパレットでは、保護者の代表が参加する運営委員会を設けて保護者の意見を活かす場を作り、イベントなどの活動にも積極的に関わっていただいています。

キッズパレットの学童保育の写真

これからも多くの大人が関わって 子どもの成長を見守りたい

 実はこの25年間、私は学童の運営に常に関わっていたわけではありません。保護者会の会長はみんなで交代していましたし、学童の場所に困り、夫が現在のあそびっこクラブの建物を建ててからはどちらかというと家主という立場でした。ただそのご縁で、我が子が卒業しても歴代の保護者会の会長がご挨拶に来てくださり、支援員の皆さんとも親しくしていました。その中で、折々の運営に関する困りごとなどは自然と知っていました。

 2011年、東日本大震災や原発事故があって「自分に何かできることはないか」と悶々としていたとき、今のひみつきちの土地が売りに出ていて、たまたま夜に見に行ったのです。そうしたら、坂戸の森の上にきれいな満月が顔を出していて(笑)。その時、ここに不足している学童を建てれば、学校が近く親も安心して子どもを預けられるし、NPO法人化をすれば児童数が増えても運営が安定する。「もう、やるしかない。」そう決心しちゃったんですよね。私には災害復興は出来ないけど、学童ならできることがあるのかなと。

 NPO法人化後のキッズパレットは、単に学童を運営するだけではなく、「わくわくサイエンス(理科実験)」、「防災体験」、「キッズパレットフェスティバル(芸術体験・鑑賞)」を毎年一般公開し、地域の子ども達も学べる場を作り活動が広がりました。

 私の想いとしては、今後も保護者会運営のときの良さを忘れず、キッズパレットにいろいろな大人が関わってほしい。保護者、支援員、小学校、市役所、地域の方、それぞれの「できること」を活かして子どもたちを見守っていく体制を継続していきたい。キッズパレットという名前には、みんながそれぞれの色を出し合って、一緒にきれいな色を作っていきたいとの願いが込められているからです。

取材日 2020年12月9日
 

キッズパレットの学童保育の写真
キッズパレットの学童保育の写真
キッズパレットの学童保育の写真
キッズパレットの学童保育の写真