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【北川鶏園 北川さん】袖ケ浦で品質を追求し、ぷりんセス・エッグを100年の名産に

印刷用ページを表示する 掲載日:2019年7月1日
北川さんのプロフィール画像

卵質にこだわった若鶏限定のプレミアムエッグ

北川さんのインタビュー写真

 私たち北川鶏園が養鶏業を営む袖ケ浦市の林地区は、市内の中でも養鶏が盛んな地域。私も養鶏農家の3代目として、養鶏と販売を手掛けています。当社はスタッフ15人で、3万4000羽の鶏を育てていますが、これは現在の養鶏では決して大きな規模ではありません。大量生産・低価格で出荷するのではなく、卵の質にこだわって飼育販売しています。

 北川鶏園が誇る自慢のたまごといえば、「ぷりんセス・エッグ」です。週齢が若い鶏に限定したぷりんセス・エッグは、ぷりんぷりんの卵白のコシが命。農林水産大臣賞を3年連続で受賞し、お墨付きをいただいています。生協や房の駅の直売所で販売していますが、レストランやスイーツ店への業務用の販売も増えています。東京の三ツ星レストランや千葉の有名スイーツ店からもご指名をいただき、直接販売しています。浅草の今半本店で使われるすき焼き用の生たまごも、実はぷりんセス・エッグなんです。

卵白のコシの強さが職人に愛される理由

北川鶏園の卵の紹介写真北川鶏園の卵の紹介写真

 今でこそ、たまごの養鶏と販売の両方をやっていますが、私が就農したばかりの頃はほとんど直接の販売は行っていませんでした。というのが、当時は比較的良い条件でたまごを卸業者に出荷することができ、それだけで経営が成り立っていたから。しかし、日用品であるたまごは厳しい価格競争もあり、ある年の年末、大口の取引が翌年から突然打ち切られることに。私はたまごの販売先を見つけるために、急遽飛び込みで営業をすることにしました。

 慣れない営業は、最初のうちはほとんど相手にされません。しかし、あるとき市原市にある洋菓子店のパティシエさんがうちのたまごを気に入ってくださり、契約をしていただきました。思い切って理由を尋ねたところ、「このたまごは卵白のコシが強い。メレンゲをたてるとすごく膨らんで冷えても沈まない。ふわふわでおいしい食感になるんだよ」と。生産者である我々も気づかなかったたまごの良さを教えていただき、今でも本当に感謝しています。それ以来、スイーツ店やレストランを中心に、今ではたくさんの職人の皆さんに支持されています。

北川さんのインタビュー写真

袖ケ浦の地の利を活かして職人の声に応える

 品質の高いたまごがつくれる秘訣は、初代から続けてきた育成方法にあります。1つは育成期を自然に恵まれた「青空鶏舎」で育てること。通常、育成期も含めて鶏は光や風を通さない環境で育てられます。そのほうがストレスを与えず、エサの効率もいいからです。一方の青空鶏舎は、鶏にとってストレスのかかる環境。それが逆に強い鶏を育てることになり、たまごに強いコシが生まれるのです。もう1つは若鶏を週齢により15棟の鶏舎で分けて飼育すること。本来、当社の規模だと1棟の鶏舎でも育てることができるのですが、週齢を分けて飼育することで常に若い鶏の卵が出荷できます。こうした育て方はコストも手間もかかりますが、その分おいしいたまごになるのです。

 北川鶏園は、「職人のための職人であれ」を理念に掲げています。一般のお客様はもちろん、料理人やパティシエといった厳しい目をもつ職人の期待に応えていきたい思いがあります。そんなときに有利なのが、袖ケ浦という立地。大消費地の首都圏にも近く、銀座や六本木、千葉などのレストランやスイーツ店までも高速道路ですぐに向かえます。お客様の声を直接聞けることが、品質の高いたまごを生み出し続けられる理由。最近は袖ケ浦市のふるさと納税の返礼品としても多くの方に選んでいただいています。ゆくゆくは、夕張メロンや黒豚のように、ぷりんセス・エッグを100年の名産にしていきたいですね。

取材日 2019年5月16日
interview&text by Okamoto Nozomi
photo by Okada Keizo(インタビュー写真)

北川鶏園の写真
北川鶏園の写真
北川鶏園の写真
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