ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
ホーム > そでがうらアンバサダー > 竹や藪だらけの山を美しい棚田と生き物のすむ里山に復活

竹や藪だらけの山を美しい棚田と生き物のすむ里山に復活

印刷用ページを表示する 掲載日:2019年7月1日
岡本さんのプロフィール画像

7つの谷を開墾し、豊かな棚田が復活

岡本さんのインタビュー写真

 袖ケ浦の川原井地区にある真光寺の裏山で、上総自然学校として里山再生活動に取り組んでいます。実は最初は、寺の境内が荒れ果てていたのを何とかしようとしたことがきっかけでした。寺を継承することになって袖ケ浦にやってきましたが、辺り一帯が竹林。大雨が降ると裏山が竹林ごと崩れてくる恐れもあって、住環境としてもままならない状態でした。それを2年かけて整備し、寺も再建しました。今でこそチェーンソーを使っていますが、当初はのこぎり1本。寺の再建の実態は、ほとんど野良作業で、日々、竹と格闘していました。

 寺を整備する過程で、近くに開発から逃れた貴重な河川流域があることがわかりました。竹林の整備から林縁への植栽、荒れていた谷津田を開墾していくと、やがてキンラン・ギンランが咲くきれいな里山環境が復活しました。もちろん一人ではやりきれないので、都会の仲間や地域の方々の協力を得て行ったのですが、都会からわざわざ来てくれるメンバーも大変な野良作業を「楽しい、かえって疲れがとれる」と言ってくれました(笑)。その活動を少しずつ広げ、一般の方にも参加を呼びかけたのが、上総自然学校の始まりです。

 現在は、大月川流域の7つの谷を開墾して、美しい棚田を復元しました。その里山を舞台に、米づくりや昆虫の観察会、収穫体験などのイベントを実施しています。袖ケ浦の子どもたちはもちろん、都会からも自然体験を楽しみに訪れる人がいます。

米作りや自然と遊んだ経験で自然との共生を知る

畔塗のイベントの写真どろんこの子どもの写真

 上総自然学校のイベントは、季節のお米づくり体験がメインです。春は、田植えに向けた畔づくりや田植え、夏は草取り、秋には稲刈りがあります。田んぼ作業がない月は、野鳥の観察会やトレッキング、巨木巡りを企画しています。このあたりには、樹齢400年ものびっくりするくらい大きなスダジイもあるんです。田んぼ作業で意外と人気があるのは、畔塗り(くろぬり)と呼ばれる畔づくり。はじめは、恐る恐る田んぼにはいっていた子どもも、泥んこになって泥を塗っていくように。帰る頃には田んぼで泳ぐまでになります。

 イベントに参加した子どもは、お米を残さず食べるようになるようです。自分で作業してみて、お百姓さんがどれだけ大変かよくわかるんでしょう。虫嫌いを克服できる子もたくさんいます。生き物が気持ち悪いという感覚を持っていると、人間は自然と共生している、という当たり前のことがわからなくなります。落ち葉がゴミになるとか、蚊がうっとうしいと言いますが、落ち葉が森や山の豊かな土壌をつくり、蚊がいる環境だから人間も暮らせているのです。大人はそれを忘れてはいけないし、子どもは小さいうちから自然を愛する気持ちを身に付けてほしいと思います。

田植えの写真

川原井地区は、昔の自然環境や横井戸文化が残る貴重な里山

 袖ケ浦の川原井地区には、江戸時代のままの昔の自然環境が残っています。最近まで山仕事をしていた人がいたおかげで、大月川を本流とした横井戸文化も復活させることができました。横井戸というのは、棚田に水を届ける水路のこと。田んぼに水を湛えるためには、雨だけでは足りず、横井戸の存在が不可欠です。この土地も7つの谷を整備して、一番上の棚田まで開墾して初めて、田んぼに水を注ぐことができました。また田んぼを無農薬にしたことで、水面が動くくらいオタマジャクシが生まれました。最近はホタルも復活するまでになり、たくさんの生き物が戻ってきています。

 上総自然学校には都会から人がやってきて、農作業をしては癒されると帰っていかれます。川原井地区には砂利採取で削られてしまった山もありますが、こんなに豊かな自然が残っていることを忘れないでほしいと思います。上総自然学校をつくったのは、環境破壊を止めたいというのも1つの理由。袖ケ浦にある美しい里山とそこに残る文化をぜひ味わいにきてください。

取材日 2019年5月16日
interview&text by Okamoto Nozomi
photo by Okada Keizo(インタビュー写真)

岡本さんのインタビュー写真
川原井の里山風景の写真
川原井の里山風景の写真
川原井の里山風景の写真