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【ガウラこども食堂 溝口さん】こども食堂をきっかけに地域の輪を広げていきたい
ガウラこども食堂のきっかけはこどもの居場所づくり
2018年9月から、誰もが気軽に昼食を楽しめる「ガウラこども食堂」を始めました。毎月1回、市民会館のフリースペースで開催中です。食事代は、こども100円、大人はお気持ちにより300円以上としています。昼食だけでなく、イベントも併せて企画することもあります。こどもからお年寄りまで、多いときには100人くらいの参加者が集まって、テーブルを囲んでいるのを見るのはうれしいもの。月の恒例イベントとして、毎回楽しみにしている方もいらっしゃいます。
ガウラこども食堂を始めたきっかけは、地域のこども達の居場所づくりになれば、との思いからでした。私は普段、アドラー心理学をベースにした親子の関係づくりの講座を開いています。そのなかで不登校の親御さんの悩みを聞くことも多く、そのつながりで私の自宅に不登校のお子さんが集まるようになったんです。フリースクールのようなこどもの居場所づくりを模索して、それが叶わずいたところ、市内で「こども食堂」という形で居場所づくりをしたいという声があることを知り、その有志の皆さんと始めました。こども食堂というと貧困対策のイメージもありますが、地域の輪の広がりも期待したいと思い、こどもからお年寄りまで誰もが一緒に食事を楽しめる場にしようと決めました。
さまざまな人たちの協力でこども食堂がスタート
こども食堂を立ち上げるため、まずは運営スタッフ集めから始めました。有志で声がけをしてみたところ、市議会議員さんにもご協力いただいて、市内の病院の理学療法士さんなどボランティアのスタッフが集まりました。食材や食器類も、地元の企業や農家の方からご寄付をいただけることに。食材の提供は農業センターや農家さんなどから、食器などはこども食堂ネットワークや企業の方にご協力いただくことができました。お肉については、単価も高いので最初は購入していたのですが、地元の食肉会社さんからおいしいお肉をご寄付いただけるように。ポスターを描いていただいているアーティストの方をはじめ、さまざまな方の想いや協力がつながって、こども食堂がはじまり、続けられていることに非常に感謝しています。
意外と苦労したのが、場所探しです。というのが、流しやガスなどの調理機材があって、ある程度の人数が食事できるようなスペースというのはなかなかありません。いろいろと探してみた結果、昭和地区にある市民会館なら、1Fに調理場、2Fにフリースペースがあることがわかりました。もともとフリースペースはレストランがあった場所です。市に協力をお願いして許可を得て、いよいよガウラこども食堂を始めることができました。
こども食堂は継続が大切 活動の輪が広がってほしい
ガウラこども食堂では毎月、季節に合わせた食材や行事を取り入れて献立やイベントを考えています。7月は夏の縁日をテーマに、献立は焼きそばやお好み焼き、イベントは綿あめづくりや当てくじをやりました。ときには市民の方がギター演奏やマジックを披露してくれることもあります。参加者は、天気によって左右しますが平均して80人くらい。告知ポスターを300部印刷して、幼稚園や小学校、公共施設に貼っているので、こども達だけで参加してくれるグループもあります。多いのは、若いお母さんとお子さんの組み合わせ。シルバー世代の方もいらっしゃいますね。
毎回、アンケートをとっていますが、「楽しかった」「居心地がよかった」という声が嬉しいです。シングルファーザーの方が利用されて、「いつも食事に困っていたし、少し自分の時間がつくれてすごく助かる」とおっしゃっていただいたこともありました。小学校高学年や中学生くらいになると、偶然出会った小さなこどもの相手をしてくれるなど、ほほえましい場面に出くわすことも。
今後は、子育て相談や学習支援、世代間交流などやっていきたいこともたくさんありますが、こども食堂を無理のない範囲で続けていくことがまずは大切。こうした取り組みが市内の別の地区にも生まれ、お互いにサポートしながら、活動の輪が広がっていければ嬉しいですね。
※インタビュー後の追記：ガウラこども食堂のスタッフのみなさんを中心として、台風15号の際にも市内での炊き出しを実施していただきました。
取材日 2019年7月18日
interview＆text by Okamoto Nozomi
photo by Okada Keizo（インタビュー写真）
