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【袖ヶ浦高校吹奏楽部 向井顧問、阿部さん】地元の声援を受けて、袖ケ浦に吹奏楽の楽しさを伝えたい
向井顧問プロフィール
袖ケ浦市在勤歴12年。1982年から千葉県の県立高等学校の社会科教員。2007年から袖ヶ浦高等学校に赴任し、吹奏楽部の顧問を務めている。
地域に飛び出すマーチングバンド、愛称は“Shamrock29”
向井顧問：袖ヶ浦高校の吹奏楽部は「Shamrock29」という愛称で、地域に飛び出して演奏活動をしています。現在は袖ケ浦公園まつりなど年間30～40回の公演を行なっていますが、ほとんどがマーチングバンドでの演奏です。揃いの衣装で動きながら演奏するスタイルは、音楽だけでなく動きも楽しめるので、こどもからお年寄りまで喜んでいただいています。地元の福祉施設から東京ドイツ村、東京ディズニーランドなどのテーマパークへも足を運んで演奏しています。
Shamrock29を結成したのは、今から12年前。私が袖ヶ浦高校に赴任し、吹奏楽部の顧問に就いてからです。それまで勤務していた県立高校でも吹奏楽部の顧問をしていましたが、マーチングバンドはやったことがありませんでした。
このスタイルをやろうと思ったのは、袖ヶ浦高校の生徒たちがすごく明るくて元気がよかったから。高校野球の応援で演奏しているときに「この雰囲気だったらマーチングが合う」と直感したんです。その年の秋から練習を始め、半年足らずの2月に初めてお披露目しました。最初はもちろんお世辞にも上手とは言えなかったのですが、せっかくなので演奏機会を増やそうと福祉施設でボランティア演奏をしたのが評判となって、次々にオファーが舞い込み、今に至っています。
地域の方の声援が成長の励みに
阿部部長：吹奏楽部のメンバーのうち、学年によっても違いますが経験者は半分くらいです。私も中学時代はバドミントン部で、楽器を吹くのもマーチングも初めてでした。最初はみんなてんやわんやですが、まずは立ったままで演奏、続いてマーチングの足運び、それができたらマーチングをしながら演奏、と体で覚えていきます。1年生は8月下旬のコンテストがデビュー。それまで特に夏休みは朝から日没まで休みなしで練習です。不思議と脱落する人はほとんどおらず、本番のステージに立ってからも経験を積み重ねていきます。
コンテストも大切ですが、地元での演奏は観客のみなさんがいるのが励み。終わった後、「よかったよ」と話しかけてもらえるのがうれしくてみんな成長していきます。動きがかっこいいマーチングのほか、私は「アトモス」と呼んでいるアドリブの混じる演奏も好きです。先日も東京ドイツ村でパイレーツの格好をして「ヨーホー！」と登場して観客を驚かせました。入部当初は楽譜も読めなかった状態から、部長として部員をまとめ、お客さんの反応を見ながら一緒に楽しめるようにまでなる。私自身、内向的な性格も変わって、この3年間でとても成長させてもらいました。
観客の前でのライブ演奏で表現活動の楽しさを知る
向井顧問：12年間走ってきましたが、最初はこんなに地元の皆さんに受け入れてもらえるとは、想像もしていませんでした。高校の吹奏楽部は通常、コンテストでの演奏がメインになります。しかし、それだけでは公演機会が少なくなりますし、ややもすれば、観客ではなく、審査員に聞かせる演奏になってしまいます。 そうではなく、自分達のパフォーマンスに心を動かしてくれる人の前で演奏することは、表現活動そのもの。ライブの音楽がもつ力を、生徒自身も感じ、聴いていただける皆さんにも伝えられるのです。 高校生にとっても地元の人にとっても一緒に音楽を楽しめる場になっていると思います。
生徒には、こうした機会をとおして、公演をサポートしてくれる人、観てくれる人への感謝の気持ちを持ってもらいたいと思っています。顔も名前も知らない地元の方々が、並んでまで演奏会を楽しみにしてもらえるのは本当にありがたいこと。毎年の定期演奏会の会場は袖ケ浦市民会館ですが、定員650人の会場に立ち見が出るほどの盛況ぶりです。なかには近隣市の収容人数の多い会場で演奏しては、という声もあります。でも、歩いて観に来てくれる地元の方の気持ちに応えるのがShamrock29のあり方。地元の声援を大切に、これからも活動を続けていきたいと思います。
取材日 2019年7月18日
interview＆text by Okamoto Nozomi
photo by Okada Keizo（インタビュー写真）
