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下水道事業受益者負担金の時効等について
要旨及び経緯
下水道事業受益者負担金(以下、負担金という。)の徴収猶予に関する事務について、時効により負担金を徴収できない事例及び還付が必要な事例が判明したことから、令和4年度に報告しましたが、その後に更に精査をした結果が出たため再度報告するものです。
負担金時効の経緯について
負担金の徴収猶予に係る事務について、昭和59年度の事業当初から猶予申請書の提出がない事案に対し、下水道管の整備状況や現地の状況により、公共下水道利用困難や受益者所在不明などが明らかな場合は、「職権による徴収猶予」を決定しておりました。
また、「職権による徴収猶予」の場合も、宅地開発等で猶予の事由がなくなった場合は、受益者から負担金を徴収しておりました。
しかしながら、規則に定めのない「職権による徴収猶予」における消滅時効の更新の効果に疑義が生じ、協議した結果、時効の更新の効果が認められず、債権は時効により消滅していると判断しました。
請求権が時効となる負担金について
取りまとめた内容は以下のとおりです。
対応について
今後は、再発防止に努めるとともに関係法令を遵守し、適正な賦課徴収事務及び債権管理を徹底いたします。
制度の概要
1 受益者負担金制度
公共下水道が整備された地域は、生活衛生環境や土地の利用価値が向上します。この利益を受けるのは、公共下水道が整備された区域内の土地所有者など(以下、受益者とする。)に限られることから、都市計画法(以下、法という。)第75条の規定により、公共下水道の建設工事費用の一部を受益者に負担していただく制度です。
市では、袖ケ浦市都市計画下水道事業受益者負担に関する条例(以下、条例という。)及び同条例施行規則(以下、規則)に基づき、公共下水道が使えるようになる年、または、その前年を目途に昭和59年度から賦課徴収を実施し、建設費の一部に充て整備を進めてきました。
都市計画法
(受益者負担金)
第75条 国、都道府県又は市町村は、都市計画事業によって著しく利益を受ける者があるときは、その利益を受ける限度において、当該事業に要する費用の一部を当該利益を受ける者に負担させることができる。
2 前項の場合において、その負担金の徴収を受ける者の範囲及び徴収方法については、国が負担させるものにあっては政令で、都道府県又は市町村が負担させるものにあっては当該都道府県又は市町村の条例で定める。
2 徴収猶予制度
災害や土地等の状況により条例第7条に該当する場合は、受益者からの申請により負担金の徴収が猶予される制度です。
徴収猶予の対象となる土地は、係争中や農地(田、畑、山林、生産緑地)、宅地化困難(急傾斜地、低地、民地に囲まれている)など、公共下水道の利用が困難な土地が主なもので、猶予期間は、1年以内、5年以内、宅地化されるまで等、区分により異なります。
袖ケ浦市都市計画下水道事業受益者負担に関する条例
(負担金の徴収猶予)
第7条 市長は、次の各号の一に該当する場合においては、負担金の徴収を猶予することができる。
(1)受益者について災害、盗難その他の事故が生じたことにより、受益者が当該負担金を納付することが困難であるため、徴収を猶予することがやむを得ないと認められるとき。
(2)受益者が当該負担金を納付することが困難であり、かつ、その現に所有し、又は地上権等を有する土地等の状況により、徴収を猶予することがやむを得ないと認められるとき。
袖ケ浦市都市計画下水道事業受益者負担に関する条例施行規則
(負担金の徴収猶予)
第9条 条例第7条の規定により負担金の徴収猶予を受けようとする受益者は、下水道事業受益者負担金徴収猶予申請書(様式第5号)により市長に申請しなければならない。
2 市長は、前項の申請があったときは、別表第1に定める下水道事業受益者負担金徴収猶予基準に基づきその可否を決定し、当該受益者に対し、下水道事業受益者負担金徴収猶予決定通知書(様式第6号)により通知するものとする。
3 時効
法第75条第7項では、「負担金及び延滞金を徴収する権利は、これらを行使することができる時から5年間行使しないときは、時効により消滅する。」と規定されています。そのため、時効の更新等の手続きをせずに、受益者負担金を徴収する権利を5年間行使しないときは、受益者の時効の援用がなくともその債権は消滅します。
都市計画法
(受益者負担金)
第75条
7 負担金及び延滞金を徴収する権利は、これらを行使することができる時から5年間行使しないときは、時効により消滅する。